若い女性を描く
今日は人物を真正面から描くことについてお話します。人物画と聞いただけで、「ああもう結構。」と、アレルギー反応を起こす方がいらっしゃいます。
若い女性 水彩画 木炭紙大
他方で、「表情が出せて生身の人を描くぐらい楽しいモチーフはない。」と、ほんとうにいい笑顔で話される方もいます。
ただし、この方は「部屋に飾っても家族の方が喜んでくれないので、描いた絵をお蔵入りにして置くだけです。」と、とても残念そうでした。少しだけでも理解してあげて欲しいですね。
それでは、本論にいきましょう。
人物画の場合、人物そのもののフォルム(形)と人物以外のその他の背景の部分とから成り立ちます。
先ず最初に、人物そのもののフォルムを描く場合に注意するポイントをあげます。
@頭、首、肩のつながりに注意します。首は肩の線よりも前よりについています。
A七部身や全身像の場合には、腰と膝のつながりに注意します。
B似せることにこだわらないでも、それぞれの形がしっかり取れていれば、モデルさんに自然に似てきます。
C表情も形としてみることです。たとえば、笑顔の場合にはどこが出っ張って、どこがへこんでいるかというようなことです。
D手ががりになる形の変り目に注意することです。あごと首、頬(ほお)の前面と側面、額(ひたい)と鼻筋のつながりなどです。
E目、鼻、口、まゆ毛などの顔の中の配置については顔の描き方を参照してください。
次に、とかく難しいけれども大切なことは、長方形の画用紙の中に人物を置くことによって生み出されるその他の背景の部分です。
つまり、背景のマッス(色の塊 色面)が、果たして美しい緊張感のあるフォルム(形)になっているかどうかです。
画面の空間はいろいろな色によるマッスの構成が決め手ですから、ただ物の形がよく描けるというデッサン力とは無関係のようです。
物の形がよく描けることと絵がうまいこととはイコールではないのです。画面全体が絵を構成していることを忘れないで、隅から隅まで気を配るようにしてください。
絵画を鑑賞する際には特にこの点に注意して、どんな工夫がなされているかをみられることをお奨めします。
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風景の中に人物を入れる
絵の中に人物や動物など動く対象物を描き入れると、絵が生き生きとしてきます。見る人の頭の中に動く姿が連想されて、絵にダイナミックさ(動き)が出てくるからでしょう。
そうは言っても、人物を主たるモチーフとする場合と異なり、周りの風景との調和が必要となって難しい、と思われている方がいらっしゃることでしょう。
そこで、こんな方法はどうでしょうか?
公園や駅等の人物が行き交っている場所を選びます。(交通等の邪魔にならないように配慮することは言うまでもありません。)
まず、人物を除いた周りの建物、樹木、ベンチや街灯など静止している風景を描きます。
つぎに、歩いている人物が建物やベンチと比べてどのくらいの大きさであるかを検討します。
行き交っている人は、遠くの人ほど小さく手前の人ほど大きく見えますよね。でも、ここで注意したいことは、頭の頂点はほとんど横一直線上に並ぶことです。多少の身長差はありますが、変化をつける程度です。
(ただし、高いところから下を見下ろしたような場合は別です。)
ベンチに座っている人は、肩の位置が後ろの背もたれよりどのくらい出ているかを見ます。
ここで、点景として人物自体を描く場合に気を付けることをまとめてみます。
風景の中に人物を入れる点描の場合ですから、前景に人物を描くことはまず考えられませんね。人物は中景か遠景に描くことになります。
まず、中景にいる人物を描く場合(ここでは立ち姿)については、周りの風景と人物の大きさとの比率を観察して、身長を決めます。
大体の標準は、身長の半分が腰のライン、頭は上半身の四分の一の大きさです。
首は胴体の前寄りについていますので、ことさら描く必要はなく、丸い頭と長方形の胴体をあっさりと書いて、手や足をくっつけます。

腕の長さについては、肘を伸ばすと手先が太もものあたりにきます。
このような骨格を意識して肉付けに洋服や帽子を着せます。
以上は標準的な描き方なので、実際の人物を見ながら測定してください。
次に、遠景にいる人物を描きいれる場合については、人物の大きさは中景の場合よりも小さくなります。
細長い頭と長方形の胴体、物足りないと感じればそれに足をつければ十分です。ほとんどシルエットのような扱いです。

こちらは公園で写生する友人の風景画です。
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空間を表す方法
絵を描く上で空間をいかに表現するかは大切な要素の一つです。
りんごのモチーフで検討してみましょう。
画用紙にりんご1つを描いただけとします。
(図1)
リんごは宙に浮いているのか、台の上に置かれているのか、存在の状態がよく分からないので、見る人に不安感を与えます。
では、光源を意識して陰影をつけるとどうでしょうか?
(図2)
たとえば、りんごがテーブルの上に置かれているとします。
リンゴ自体にできる陰と置かれているテーブルの上にも影ができますね。
陰影を描きいれただけで、りんごとりんごの置かれている場所との間に空間を感じることができます。
次に、横に1本の線を描き入れてみましょう。
(図3)
一本の線がテーブルに見えたり、地平線に見えたりと、ますます空間を感じることができますね。
一本の線の位置によっても変わってきます。
りんごの下に接するように描くと、まるでりんごが今にも落っこちるのではないかと、危なっかしい感じを与えます。
りんごよりも上に1本の線を引きと、手前が広くなり、画面がゆったりと感じられます。
前回習った黄金分割の位置に1本の線を入れてみてください。より一層落ち着くのではないでしょうか?
さらに、りんごを2個並べてみるとどうでしょうか?
(図4)
りんごとりんごとの間にも影ができますよ。そこにも空間があることを感じますね。
このように空間の表現の仕方を心得ていますと、同じモチーフを描いても見る人に与える印象が違ってきます。
もちろん、絵はどんな描き方をしても自由です。影なんかつけないで平面的に表現する、という方法もあります。
浮世絵に描かれている歌舞伎役者の絵を思い出してください。陰影がついていなくても、立体感を感じ取ることができますね。
また、色の持つ特性によって空間を表現することもできます。今の段階では、そういう方法もあるということに留めておきます。
(まとめ)
今日は空間を表現するためには、物と物との関係を描きいれること。たとえば、光源を意識して陰影をつけることや物が置かれている場所を表すためにテーブルの横線を入れることなどです。
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