脳卒中の判断と治療
朝日新聞2010年10月29日に掲載された「脳卒中正しい知識で備え」の記事から抜粋です。
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脳卒中は、癌、心臓病に続いて日本人の死亡原因の第3位です。でも、素早い判断と一刻も早い治療で回復できるまでに進歩しています。
脳卒中は、血管が詰まったり破れたりして脳細胞が死に、死亡したり重い障害が残ったりする
病気です。
脳卒中は、血管が詰まる脳梗塞、動脈にできたこぶが破れて出血するくも膜下出血そして脳の動脈が破れて出血し血の塊が脳の組織を圧迫する脳出血などの上位概念です。
脳卒中は世界では6人に1人、日本では5人に1人が一生に一度はかかると言われている身近な病気です。
(1)脳卒中ではないかと素早く見つける方法について。
・体の片側がしびれる
・足がもつれて歩けない
・ろれつが回らない
・人の言うことが一時的に理解できない
・物が二重に見える
・片目が見えない又は視界の半分が見えない
・食べ物が一時的に飲み込めない
・激しい頭痛
上記のようなことが脳卒中の初期症状としていわれています。
脳卒中が疑われた場合には「FAST」と呼ばれている方法がよく知られています。
もとは米国の救命救急士が現場で判断する目安として広がったもので英語の頭文字を組み合わせています。
F=Face(顔)笑うかチーズと言ってもらう
表情が左右非対称となり頬や口がゆがむかどうかを見る。
A=Arm(腕)手のひらを上にして両腕を前に伸ばし五つ数える
その間片腕が下がっていないかを見る。
S=Speech(言葉)「今日は良い天気です」などの短い言葉を言ってもらう
上手く話せるかどうかを見る。
T=Time(時間)上の3個のうち一つでも当てはまると
すぐに救急車を呼んで症状と「脳卒中かも」と伝える。
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(2)治療法について
2005年から、発症直後に適切な治療を受けることが出来れば後遺症も残らず回復できるようになりました。
発症後3時間以内にtPAという脳梗塞の薬が使えることです。脳卒中ではないかなと疑われる症状があれば、一刻も早く救急車を呼び、できるだけ早く治療を受けることが大切です。
また、発症後8時間までならば、脳血管にカテーテルを通し、血栓をはがして取り去る治療法ができます。
でも、tPAという薬にしてもカテーテルの治療にしても、事前にCTやMRIなどで脳の画像診断をなし十分な訓練を積んだ医師による診察が重要ですから、病院が限られています。
脳梗塞で注意したいのは再発の危険性が高く、再発を繰り返すほど重症化しやすいことです。一度脳梗塞になると治療を続けなくてはなりません。
動脈硬化による脳梗塞の再発を防ぐには血小板の働きを抑える「抗血小板薬」が有効です。
現在最もよく使われているのはアスピリンです。ただアスピリンは脳梗塞の再発を15%程度予防できますが、脳出血等の発症につながる危険もあります。
03年には血流改善作用もある抗血小板薬のシロスタゾールが再発予防に使えるようになりました。
日本で03年から05年にかけて脳梗塞の患者2757人を対象にしたシロスタゾールとアスピリンの比較臨床試験によるとシロスタゾールはアスピリンよりも脳卒中の再発リスクを26%下げるうえ、出血のリスクも54%低くなったといいます。
06年にはアスピリンより血小板の働きを抑える作用が強いクロピドグレルが発売になりました。
また、心房細動が原因の再発予防には心臓で血栓ができないようにする抗凝固薬のワルファリンを服用します。しかし、この薬は出血のリスクを高める他、食事や他の薬の影響も受けやすく定期的な血液検査が必要です。
生活習慣病といわれる高血圧、糖尿病、高コレステロールの予防や治療も大切です。高血圧の状態が長く続くと動脈硬化が進み、脳梗塞になりやすいし、心臓への負担が心房細動の原因になることもあるからです。
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